#生きる練習

日常系ゆるふわ思い付きブログ

水溶性の恒星にて

 

「私のこと、世界のこと、天井のこと、もっと深く考えたことあんの?宇宙みたいにさ。輪っかが浮かんでる。それを君はドーナツだと言って食べてしまったね。ビルの隙間から見えるあのタワーみたいな味がしたはずなんだ。そう、君のことは何でも知ってる。昨日の明け方は一緒にバリに行ったね。奇麗な暗闇だった。今は換気扇の向こう側の夢を見てる。自分が球体になって転がり続けてる夢だったかもしれない。三半規管は置いてきたことを思い出して宙に浮いて、目が冷めた。同じ夢?玄関のチャイムは世界が外側にも広がってることをお知らせしてくるから最悪だね。木目調の机の角をガリガリ爪を立てて恥ずかしそうに笑ってる。正解を出そうとするから面白くなくなるんだって、もう三十二回目。君の苦そうな目で私にも表情があったんだと思い出した。焼き肉のあとの不味いガムみたいな一生だったね。この部屋も君が居る時だけは3月の静かな雨の匂いがする。少し傾いた掛け時計の針は君と私の喉を優しく切り裂くことはしてくれないんだってね。そうだ、明日一緒にお揃いのミサンガ切ってもらおう。」

「何?」

「ひとりごと。」