#生きる練習

日常系ゆるふわ思い付きブログ

ニトリ

今の家からは渋谷まで自転車で15分くらいで、ずっと家で引きこもっていても健康に悪いのでウィンドウショッピングに出向くことがある。まんだらけやLOFTなどで気晴らしにぶらぶらする。先日は渋谷のニトリまで足をのばしてみた。

渋谷のニトリの3階には照明のエリアがあって、その一角の隅っこの方にニトリの試作品コーナーというのがある。これは渋谷店以外で見たことなかったが、渋谷店だけにあるものだろうか。少し安めの価格で試作段階の商品が並べられている。ニトリの商品は大抵保証付きであるが、保証対象外という表示が過度にでかでかと貼られている。なるほど、こういう商業戦略もあるのか。無難な家具メーカーだと思っていたが中々攻めたこともしているのかと感心してしまった。ちなみにインターネットで試作品のレビューを送るとアカウントと連動してニトリのカードにポイントが付くシステムらしい。そんな試作品コーナーで一際異彩を放つ製品を発見してしまった。その名も「暗度計」。あんどけい?光度計や照度計ならまだしも暗度計とは?そもそも暗度とは?試作品コーナーとは言えど攻めすぎ感が否めない。しかも暗度という概念自体からニトリの開発研究部か何かが生み出したらしい。生活を快適にするとかうんぬんかんぬん書いてある。なんじゃこれ。

買った。

なんせ598円とかいう微妙にちゃちー価格で、そもそも得体のしれないものを計る得体のしれない製品。買うしかなかろう。この安さにも納得がいくのは隣に暗度計と連動させられる照明が売っていて、こちらの製品は9000円くらいした。こっちが本体か。それにしてもよくわからん単位とそれを元にした照明器具に1万円も払えるものだろうか。それとも商売の戦略自体がプロトタイプということなのだろうか。とりあえず暗度計だけをレジに持っていった。

早速家に帰ってパッケージを開けてみた。小さな画面のある直方体に、先端に金属箔みたいなのが付いた4つの棒のようなものが飛び出していてドローンにプロペラがないような形だ。この金属箔で何かしらを計測しているのか。大きさは手のひらに乗るくらい。単4電池2個で起動する。側面にはボタンが2つ見えるがこちらは照明器具と連動させなかったら使わないっぽい。商品説明には部屋の睡眠や読書に適切な暗度をコントロールすることで快適な生活を実現できるというようなことが書いてあった。照度じゃなくて暗度なのは睡眠時の部屋の明るさのことを念頭に置いてなのか。ニトリともあろう大企業がこんな胡散臭いことするのかと半信半疑であったが、同時に未知のものに対する高揚感のようなものも湧き上がってきた。

電池の絶縁体を抜き取り、さっそく使ってみた。明るい状態の部屋の暗度は0.50°Dと表示された。暗度の単位系は°Dらしい。DarkのDだろうか、もしくはまだまだ開発段階の度合いだから仮設定として単にDegreeのDとかだろうか。部屋の照明を消してもう一度計測してみる。部屋の暗度を邪魔しないためか、計測部には影響がないくらいうっすら緑色のバックライトが点灯して30.5°Dあたりの値になった。基準はよくわからないが、何かしらを検出して明るさに応じて何らかの値を示しているらしい。598円の試作品なんてこんなものか。説明書には使用者の年齢に応じた睡眠や読書に合わせた適切な暗度が表にして書いてある。QRコードでホームページでもこの表が見れるようになっていたが、ホームページには特に詳しい説明は見当たらなかった。やっぱり基準はよくわからないが、自分の場合睡眠に快適な暗度は35〜40°Dということだったので頑張って合わせてみた。合わせるにも照明を消す以外には中々難しい。アパートの玄関先の照明も24時間消えない。どうにかしてカーテンのない窓を暗めの布で覆ってみると暗度35°Dをなんとか突破。こうして生活すること約一週間、快適になったといえば快適になったようなプラシーボといえばプラシーボなような。睡眠の質は上がったのか、上がってないのか、はたまた一緒に買った2000円の枕の効果なのかはわからないまま悶々とした日々を過ごしながら暗度計と連動する照明器具の購入を検討している今日この頃。ちなみにニトリに試作品コーナーなんてない。暗度なんてものもない。